HARDWARE ロジックボード編1

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ロジックバス(16Bitバス)のクロックアップ
はじめに
500シリーズのロジックバス(I/Oバス)のクロックアップ方法を確立されたのはTSさんです。
その後PHENiXの改・造・談・義のなかでのTSさんtymuさんらの議論を参考にして考えたのが今回公開する改造方法です。
 
この方法だとロジックボードのパターンカットが必要になりますが、元の抵抗はそのまま利用しています。どうやらこの抵抗が重要らしくこの抵抗がないと25MHzを超える高クロックになると正常に動作しなくなってしまうようです。
 
パターンカットする場所はロジックボード裏面のCHIPS T65220の近くでチップ抵抗が縦に並んでいるところです。(下の写真参照)
カットする個所は赤線で示しています、幅が0.1mmほどしかないので虫眼鏡がないと作業出来ません。
ここをしっかりカットすることが重要なんですが多層基板なのであまり深く削ると中のパターンを傷めることになります、慎重に作業して下さい。
写真では見えないので、パターンを図にすると左のようになっています。
縦に5個並んだ抵抗は上からR155で下がR151です。パターンをカットする際はR153とR154をはずした方が作業がやりやすいです。
パターンカットが出来たらテスターでちゃんとカット出来ているか確認します。
問題なければ写真を参考にしてラッピングワイヤーなどで配線します、@とAを接続したらBはクロックを注入するためにロジックボードの表に出します、配線は長めにしておきます。
 
ロジックボードの表側に引き出したラッピングワイヤーをクロックオシレーターと接続します。
写真では22.5792MHzのオシレータの上にオシレータを二階建にして接続しています。周波数によっては同じサイズのオシレータの入手は難しいので、入手できなかったら22.5792MHzに接続します。
オシレータを二階建てにするときは2番ピンと4番ピンを下のオシレータと接続します、3番ピンがクロック出力ピンになります。
(写真では逆向きですが、写真手前側の左が3番ピン右が4番ピン、奥側の左が2番ピン右が1番ピンになります)
 
これでロジックバス(16Bitバス)のクロックアップ完了です。
もし起動できない場合は、パターンカット個所の確認と追加配線の接触不良を確認して下さい、確認後も起動出来ない場合はオシレーターの相性問題の可能性もありますロジックボード上の22.5792MHzに接続して再度確認して下さい。


写真の改造個所はRev.B基板のものです、Rev.A基板とは異なります。
(Rev.BはFDDスペースに抵抗など部品が実装されています)

 
入力するクロックについて (研究中...)
 
ロジックバスのクロックを上げるとCPUへの負担が増します。
30MHzを越えるロジックバスクロックを入力する場合にはCPUクロックを下げるか冷却の強化が必要です。
(テストしたマシンは、PB550c Kai、PB550c 改2号)
 
30MHz以上のクロックでの動作のまとめ。
 
33MHz とくに問題なし。
35MHz以上  内蔵Etherの動作が不安定になる、またはハング。
(10baseTトランシーバー内蔵の改造をしたマシンのみ)
36MHz以上  PCMCIAモジュールを使用した場合に画面にゴミがでる、モジュールを使用しなければ発生しない。ゴミの発生はロジックボードと溜まっている熱によって変化する。
39MHz以上  167カード(42.5MHz×4.5)でPCMCIAモジュールを使用した場合に起動しない(起動音は鳴る)、さらに167カード(40MHz×4.5)ではアルペジオ発生、モジュールを使用しなければ起動する。
また、内蔵モデムが装着されている場合は、熱が溜まってくると画面にゴミがでる。
40MHz ロジックバス以外の改造を行っていないロジックボードでPCMCIAモジュールと内蔵モデムを装着せず、内蔵Etherも使わなければ、正常に使用できる。(冷却強化必須!)

使用環境や各ボードの個体差によって限界クロックは異なります。
表示にゴミが出る問題はVRAMを70nsから60nsに張り替えても改善しませんでした。
ロジックバス35MHzの状態でPBXチップの温度を測定してみると、最高60.0℃になっても動作は正常でした。
10baseTトランシーバーを本体内部に内蔵し、ロジック裏面に配線した場合そこから出るノイズで35MHz以上のロジックバスクロックでは安定しないことが分かりました。シールドを強化することで対処可能です。
PB550c Kai(システムバスクロック45MHz×4.5、ロジックバスクロック 33.3333MHz)に無線LANカード(WLI-PCM-L11GP)をPCMCIAモジュールに挿した状態で、トラックパッド(マウス)のみフリーズする現象が発生しました。フリーズするのは筐体内に熱が溜まった状態で無線LANからEtherにアクセスしているタイミングで発生します、システム自体はハングしません。またシステムバスクロックを42.5MHzにした場合は発生せず、45MHzの場合でもPCMCIAモジュールをはずして内蔵のEtherを使ったときは大丈夫でした。冷えた状態では発生しないので熱が原因とは思いますが、どのチップかは特定できていません、もしかしたら電源不足の可能性もあります。

お勧めのロジックバスクロック
 
システムバスクロックやCPUの動作クロックとの関係があるので、はっきりとは言えませんが、入手のし易い22.5792MHzか31.3344MHzがお勧めです。
ただしロジックボード上のオシレータから分配した場合、オシレータのドライブ能力不足でPCMCIAモジュールや内蔵モデムを使用した場合に安定しないことが分かっています。
出来るだけ二階建て方式でクロックを入力することをお勧めします。
22.5792MHz、31.3344MHzのオシレータは、ジャンクのロジックボードを探せばたいてい見つかります。

 
SystemInfo 4.0でのVideo&Disk性能の比較
 
MachineLogicBusClockSystemBusClockCacheVideoDisk
PB550c Kai40MHz42.5MHzON54.4 
PB550c Kai40MHz42.5MHzOFF50.7 
PB550c Kai39MHz42.5MHzON52.8(134)
PB550c Kai39MHz42.5MHzOFF49.9 
PB550c Kai36MHz45MHzON51.1161
PB550c Kai36MHz42.5MHzON50.4(131)
PB550c Kai36MHz42.5MHzOFF47.9 
PB550c Kai35MHz45MHzON51.0155
PB550c Kai35MHz42.5MHzON49.7(135)
PB550c Kai35MHz42.5MHzOFF47.4(123)
PB550c Kai33MHz45MHzON49.1161
PB550c Kai33MHz42.5MHzON47.9158
PB550c Kai31MHz42.5MHzON46.4(128)
PB550c Kai31MHz40MHzOFF42.5(141)
PB550c Kai30MHz42.5MHzON45.8 
PB550c Kai30MHz40MHzOFF41.8(133)
PB550c Kai28MHz42.5MHzON43.6 
PB550c Kai15.66MHz40MHzOFF26.8137
PB550c Kai15.66MHz33.3333MHzOFF24.8127
PB520c15.66MHz25MHzOFF22.9133
↓は、SystemInfo3.0の既定値
PB 5300c/10025MHz33.3333MHzOFF41.2105
PB 1400cs/11725.175MHz33.3333MHzOFF34.7111
PB 540c15.66MHz33.3333MHzOFF24.991.9
CPUのクロック倍率を変えても測定誤差範囲の変化しかなかったので、CPUクロックは省略しています。
OSはMacOS 8.1にSpeedDubler8を使っています、SpeedDubler8を使用しない場合ディスクの評価が下がります。
ハードディスクはIBM DJSA-210(10GB) + PowerMonster RXを使用。
括弧で囲んだ値はIBM DADA-25400(5.4GB) + PowerMonsterを使っていますが断片化の状況が不定です。
断片化が進むので、過去のテストよりも最新のテストの方がディスクの評価が下がります。(実はSystemInfoの実行回数で評価が下がっていく気がします?-20程度は誤差範囲?)



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